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M男補完計画 ── 境界線はローションで溶ける

by MIKI

私は、エヴァンゲリオンを一度も観た事がありません。
知識はほぼパチスロと、ネットで断片的に流れてくる「逃げちゃダメだ」と「おめでとう」と「シンクロ率がどうこう」という、だいぶ偏った情報だけで出来ている。

だが問題ない。
むしろその方が、本質だけを掴める。
なぜならエヴァンゲリオンという作品は、「設定」ではなく「構造」で出来ているからだ。
そしてその構造は、驚くほどシンプルだ。
── 境界線を壊して、誰かに甘えたい。
以上である。


ロボットじゃない、あれは“帰る場所”だ

普通、巨大ロボットというのは、乗り込んで敵をぶっ叩く為のものだ。
だがエヴァンゲリオンは違う。
あれは、戦う為の兵器じゃない。
“壊れた人間を一時的に母親に戻す装置”だ。

LCLという謎の液体に満たされ、神経を接続され、自我の輪郭が曖昧になっていく。

── それ、M性感で毎日行われてるやつだ!
そう。
M性感のローションプレイは、極めて簡易的なエントリープラグである。


A.T.フィールド=「ちゃんとしてる自分」

エヴァンゲリオンに出てくる「A.T.フィールド」。
あれは難しい言葉で説明されているが、要するにこれだ。
「これ以上踏み込むな」という人間の防御反応。

・会社での肩書き
・家庭での役割
・“まともな人間”としての顔

全部、A.T.フィールド。
で、M性感に来るお客様はどうか。
ガッチガチ。
鉄壁。
要塞都市。
だが ── ローションをつけた瞬間、終わる。
皮膚感覚は嘘をつかない。
温度と接触は、言葉よりも速く脳に届く。

「ここでは守らなくていい」

その判断が下された瞬間、フィールドは音もなく剥がれる。
それは敗北ではなく、降伏だ。
だがその降伏は、快楽を伴う。
だから人は、また訪れる。


LCL=ローション=“境界線の溶剤”

LCLは「生命のスープ」とか言われてるらしい。
うむ、もっと単純に言ってみる。
“自分と他人の境界を曖昧にする液体”だ。
そしてローションも、全く同じ働きをする。

・手なのか、身体なのか
・触れているのか、包まれているのか
・主体がどっちなのか

分からなくなる。
ここで起きているのは快楽ではない。
同一化だ。
大人になると、絶対に許されない感覚。

・全部分かってほしい
・全部受け入れてほしい
・何も説明したくない

それを、言葉なしで成立させる状態。
── それが「補完の予行演習」だ。


人類補完計画=リピート構造

エヴァンゲリオンの最終目的。
「人類補完計画」。
全員の心を一つにして、孤独を消し去る。
めちゃくちゃだ。
だが同時に、めちゃくちゃ正直だ。
これをM性感に翻訳するとこうなる。

・足りない承認を埋める
・傷を一時的に麻痺させる
・“一人じゃない感覚”を疑似的に得る

つまり ──

M性感は、個人単位の補完計画だ。
ただし決定的に違う点がある。
エヴァンゲリオンは「永遠」を目指した。
M性感では「その瞬間」に限定している。

ここがプロフェッショナルの仕事だ。
ずっと一緒にいない。
完全には満たさない。
だからまた来る。
依存ではなく、循環を設計している。
これができてない場合は、ただの安い逃避となる。


究極の甘え=“許されたい”という欲望

エヴァンゲリオンが描いているのは、戦いでも哲学でもない。
もっと原始的なものだ。
「そのままでいい」と言われたい欲望。
ただし問題がある。
大人は、それを直接言えない。
だからこうなる。

・仕事頑張ってる風
・社会に適応してる風
・理性的である風

全部、仮面。
その下でずっと思ってる。
── 誰か、全部許してくれ。
それを叶えるのが、M性感だ。
言葉ではなく、触覚で。


逃げちゃダメなのは“現実”の方だ

有名なセリフがある。
「逃げちゃダメだ」
だが私の個人的な目線で言わせてもらう。
逃げろ。ちゃんと逃げろ。
ただし条件がある。

・戻ってくる前提で逃げろ
・壊れる前に逃げろ
・逃げる場所を選べ

エヴァンゲリオンに乗る時間。
プレイを受ける時間。
日曜朝にプリキュアを見る時間。
全部同じだ。
現実を続ける為の“調整装置”なのである。


これは愛じゃない、だが愛に一番近い

新世紀エヴァンゲリオンとは、境界線の崩壊を描いた作品である。
そしてM性感では、その全部を使ってプレイを行なっている。

これは恋愛じゃない。
救済でもない。
だが ──
人間が壊れずに生きる為に必要な、最も不純で、最も機能的な優しさだ。


シンクロ率400%の朝

日本のサブカルチャーは、図らずも「疲れた大人をどう生かすか」という高度なメンタルケア・マニュアルを、アニメという形で提示し続けてきたのだ。

私は今、ようやく理解した。
私が日曜の朝にプリキュアを見ているのは、単なる趣味ではない。
あれは、M性感の現場に立つ為に「魂のシンクロ率」を上げる儀式だったのだ。
サービス業の深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いている。

……いや、深淵というより、これはただの「愛」かもしれない。
ただし、だいぶ拗らせて、ローションを投入したタイプの愛だ。

よし、今日も仕事に行ってくる。
エントリープラグ(受付)の中で、誰かのA.T.フィールドが剥がれるのを待つ為に。

── シンクロ率、400%。

今日も誰かのA.T.フィールドが、ぬるっと剥がれている。
人類は未だ補完されていないが、五反田の一角では、毎日部分的に溶けている。
……たぶんこれが、一番現実的な人類補完計画だ。