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「こんなんがええねん」な話。

by 中井

たまに無性に食べたくなるものがある。
ウインナーエッグ丼。

別に特別な料理じゃない。
むしろ、かなり雑な部類に入ると思う。

白ごはんの上に、焼いたウインナーと目玉焼き。
ただそれだけ。

でも、これが妙にうまい。

なんかこう、変に凝った料理じゃなく、「こんなんがええねん」ってなる感じ。

むしろ、そういう雑な飯のほうが意外とうまかったりする。

で、このウインナーエッグ丼にはちょっとした思い出がある。

小学4年生の頃。
友人の家で遊んでたとき。

ゲームしてマンガ読んで、ダラダラしてたら気付けば夕方。
そのとき、そいつがポロっと言った。

「腹減らへん?」

お菓子でも出してくれるのかと思っていたら、そいつは立ち上がってキッチンへ向かった。
フライパンを出し、ウインナーを焼き始める。

それだけじゃなく、冷蔵庫から卵を取り出して、目玉焼きまで作り出した。
当時の自分にとって、
「フライパンを使う=大人」
みたいな認識があったから、ちょっとしたカルチャーショックだった。

両親が共働きで帰りが遅く、たまにこうして自分で作ってるらしい。
自分で自分の腹を満たしてる感じがやけにカッコよく見えた。
自立してると思った。

「自立=ウインナーを焼けること」
という方程式まで出来た。

「完成!」

そう言って出されたのは、白ごはんの上にドカッと乗せられただけのウインナーと目玉焼き。
なんの工夫もない、シンプルすぎる飯。

それでも、妙にうまくて。
「こんなんがええねん!」って言いながら、夢中で食べた。

あれ以来、ウインナーエッグ丼を食べるたびに、あのときの光景がうっすら浮かぶ。

夕方の空気とか、少し暗くなり始めたキッチンとか。
やけに大人びて見えた、あいつの背中とか。

そして、何回食べても思う。

「こんなんがええねん」

(おわり)