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言葉の責任

by 五十嵐

みなさん、イソップ童話の『オオカミ少年』をご存知でしょうか。

「オオカミが来たぞ!」と何度も嘘をついて周囲を驚かせていたら、本当にオオカミが現れたときには誰にも信じてもらえず、大変な被害に遭ってしまう。そんな有名なお話です。


「日常的に嘘をついていると、いざという時の真実さえも信じてもらえなくなる」


この教訓は、現代の私たちの日常にも深く通じるものがあります。今の時代、本物のオオカミに襲われるような災害はそうありませんが、日常の人間関係において、じわじわと「小さな実害」が出ているのを感じるからです。


それは、悪意のある嘘だけでなく、「過激な冗談」や「軽はずみな約束」(故意に嘘をつきたいわけではないもの)の場合でも同じです。


例えば、こんな言葉を耳にすることはありませんか?

「宝くじで3億円当たったら半分あげるよ」
「30歳になってお互い独身だったら結婚しよう」
「老後は同じ老人ホームに入って、毎日ゲートボール
して暮らそう」


これが「本当」になることが、一体どれだけあるでしょうか。
もしかしたら、数%の本気が混ざっていることもあるかもしれません。けれど、大体は言葉だけの「嘘」で終わってしまいます。

相手は冗談のつもりかもしれませんが、わたしはこれらの言葉を聞いた瞬間、心のシャッターが落ちてしまいます。

人の本心なんて、ただでさえ簡単にはわからないものです。だからこそ、本当に大事にしたい人間関係であるならば、言葉と行動に責任を持ち、正直であるべきではないでしょうか。
幸いわたしの大切な友人や周囲の人間関係にそういう人はいませんが、たまに生活のなかでこうした発言をする人に出会ってしまうと、「ああ、この人は信用できない人だな…」と距離を置いてしまいます。


こんな風に考える私は、異常なのでしょうか。

わたしにとっては、ただ『大事な人と適当な約束はしない』という、とてもシンプルで当たり前の構造なのです。しかし世間からは、もしかしたら「冗談の通じないお堅い人」と思われてしまうのかもしれません。

最近、少し自分の時間ができたので、よくこんなことを自分に問いかけています。


軽快なやり取りを好む人がいる一方で、私のように、言葉の裏にある「誠実さ」を何より大切にする人がいてもいいはずです。
言葉を軽く投げ合ってその場の空気だけを盛り上げる関係よりも、不器用でもいいから、発した言葉に嘘がない関係を築きたい。

「大事にしたい人だからこそ適当な約束はしない」


このシンプルなポリシーを守り続けることは、冷たく、異常に映ることもあるでしょう。でもわたしは、これこそが人間関係において、自分と相手を最も大切にするための「本当の優しさ」なのだと信じています。

五十嵐