
私は昔ヘルスで働いているときに、性病にかかったことがあります。
自分では全く気づかないまま、お店の定期検査で「喉の淋病」が見つかりました。症状は一切なく、日常生活に何の不便もありませんでした。だからこそ「まさか自分がかかるなんて…」という驚きが一番大きかったです。
正直、それまでは性病にかかることをどこか他人事のように思っていました。自分ごととして突きつけられたときに、それは思っていたよりもショックで、性病自体への恐怖というより「そういう状態の自分になった」という現実を受け止めることが精神的に重かったのです。
治療中は働けない期間がありましたが、私の中で一番大きかった感情は「収入減への焦り」でした。この仕事は働いた分だけ収入になる世界です。1日休めば、その分確実に収入が減ります。しかも「性病にかかった」と人に話すのは、当時の私にはとてもハードルが高く、結局心の中で抱え込んだまま過ごしました。
この経験がきっかけで、もし性病にかかることが続けば、この仕事を続けるのは難しいかもしれないと考えるようになりました。ちょうどその頃、ヘルス系のプレイに負担を感じていたこともあり、私は性病リスクのない業態、M性感を掛け持ちすることにしました。
M性感では、お客様から責められることがないため、もともと仕事はやりやすかったのですが、そこに「性病の心配がほぼない」という安心感が加わりました。余計な不安を抱える必要がなくなり仕事に対してのメンタルは安定したかなと思います。
私が自分でお店を運営するようになってからもこの体験はすごく影響しています。やさしいグループは「粘膜接触のあるプレイは絶対禁止」というルールを徹底しています。もしその行為をしていることが発覚したら、即退店していただく方針です。なぜそこまで徹底するのか。それは性病にかかった時の精神的なダメージや、働けないことによる経済的なダメージを、誰にも味わってほしくないからです。
女の子が性病にかかれば当然仕事を休まざるを得ません。スタッフ間で「誰が性病だった」などと管理や共有が発生することも、現場の負担になります。それなら最初から性病リスクのない環境を作ればいい。確かに受け身のあるお店に比べれば、お客様の層は限られてしまうかもしれません。それでも性病の心配をせずに働けるメリットの方がずっと大きいと私は確信しています。
私のお店では粘膜接触のあるプレイは一切ありませんし、デリヘルやお風呂屋さんで働く女の子は月1の検査をしている場合が殆どです。
ですが、お客様が他の場所で素人の子と遊んだり、粘膜接触を伴うプレイのお店に行かれた場合は自分は大丈夫だと思い込まず、必ず検査を受けてほしいです。それは今後遊ぶ女の子たちを守るためでもあります。
実は、私にとって性病リスクは他人事ではありません。元夫がHPVウイルスが原因の咽頭癌を患ったことがあります。HPVは性的接触で感染することが多く男女ともに無症状のまま長く潜伏し、時に命に関わる病気を引き起こします。身近な人がそれで大きな病気になった経験は、私に「性病の怖さは感染直後の問題だけではない」と強く刻み込みました。だからこそ私は「自分は大丈夫」と思い込むことの危うさを、お客様にも知ってほしいのです。
私は業界全体から性病をなくしたいという大きな理想を掲げているわけではありません。ただ、私の周りで一緒に働く女の子たちやご利用いただくお客様だけでも性病リスクから解放されていてほしい。そう願って性病リスクのないお店を運営しています。
自分は大丈夫と思わず、ぜひ検査に行ってくださいね。

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性病検査が無料で受けられるキャラバンを、まりてんが中心となって主催する予定です。私も全力でこちらのキャラバン応援していきますので、500円から寄付ができます。ご協力のほど宜しくお願いいたします。